鳥取県中部の琴浦町に「波しぐれ三度傘」と言う面白いモニュメントがあります。
橋を渡った、小さな場所の海際に並ぶ3体の「旅姿」の石造が、何ともユニークまた、勇ましい。
静けさと波の音、自然と心地よい空気のこの場所は、パワースポット・癒しのスポットです。
モニュメントは、遠く北東の日本海を眺めており、荒波に向かって旅する姿はまさに今から旅立とうとする江戸時代の旅人。
昔の旅は、さぞ危険な道のりで困難であっただろうと想像してしまう。
ドラマ「木枯らし紋次郎」をイメージするモニュメントの旅姿
このモニュメントの旅姿を見ると、昔ドラマやで見た中村敦夫主演の「木枯らし紋次郎」を思い出します。
「木枯らし紋次郎」は、世間のしがらみを捨て、旅の空に生きる無宿渡世人で、決め台詞の「あっしには関わりのないこって..」が当時流行しました。
モニュメントにも、頭に三度笠(さんどがさ)をかぶり道中合羽(どうちゅうがっぱ)を羽織って、まさに「木枯らし紋次郎」の旅姿そっくりです。
三度笠(さんどがさ)
三度笠(さんどがさ)は、竹の皮や菅を編んで作られた笠のうち、頂の部分が尖っている形状のもので、三度の笠とも言われる。
股旅ものなどの時代劇で渡世人が被っている印象が強いが、もとは江戸、京都、大坂の三ヶ所を毎月三度ずつ往復していた飛脚(定飛脚)のことを三度飛脚と呼び、彼らが身に着けていたことからその名がついた。
女性用の笠は、妻折笠(つまおりがさ)とも呼ばれる。
道中合羽(どうちゅうがっぱ)
室町時代後期頃から江戸時代にかけて武士や浪人(股旅)、行商人が利用していた外套(マント)で、雨具や防寒具になる。
橋を渡る手前右側に「波しぐれ三度笠」の説明看板
この看板には、「波しぐれ三度笠」の彫刻が作られた経緯が記されています。
寛政年間に築かれた菊港は、千石船の寄港地であり、江戸時代には藩米の積み出し港として栄えた古い港です。
板子一枚下は地獄の、日本海の荒波を乗り越えて行き来した、たくましい海の男達、それを送り迎えた港の人々、そんな人々の生きざまや哀歓を彫り上げられたのがこの彫刻「波しぐれ三度笠」です。
三度笠は旅を表し、旅は人生そのものを表している。
旅の途中にはさまざまな出来事があります、それと同じで人生は良いこと、悪いこと、悲しいこと、嬉しいこと、辛いことなど思わぬ出来事の繰り返しから成り立っています。
北東に向かって立つモニュメントの姿は、見る時間や見る時期・見る人のその時の思いの違いで、ユーモアや男らしさ・勇気・希望・寂しさ・愛おしさ・やる気など色々な面を見せてくれます。
この場所「菊港」の由来の看板も横にある
明暦三年の江戸退化で、鳥取藩の藩邸が焼けてしまい、藩邸の建て直しの為、赤崎村の庄屋の河本長兵衛に材木の調達を頼みました。
長兵衛は、泉州(大阪)の堺から大きな船を買って、材木をこの港から江戸へ運んだ。
長兵衛の妻は、松江城主堀尾吉晴の孫姫で菊姫といい、この菊姫との間に出来た弥四郎は、堀尾生を名乗って長兵衛の後継者として海運業を継いだ。
そののち、この港の名が次第に菊姫の港、菊港と言われるようになったそうです。
橋を渡りモニュメントを拝見!
そして、この史実によりモニュメントに行く橋を「菊姫橋」と名ずけられました。
松江城主堀尾家の家紋(橋の欄干)
菊姫橋の入口(橋の長さは5~10m)
橋を渡った所
向こうにモニュメントが見えます!
石を積み作った道のようで、先に行けば行くほど海の上に居る気分になります。
だいぶんモニュメントに近くなりました。
近ずくと、モニュメント出入り口右下に何か書かれています。
見ると彫刻を含むここの景色が、平成7年に鳥取県景観大賞を受賞しています。
白御影石(しろみかげいし)で作られた高さ4.33mの石造彫刻は、平成元年に建立されました。
モニュメントの作者
また彫刻の作者は、何と世界的に有名な流 政之(ながれ まさゆき)さんで、1923年長崎生まれの現在93歳。
内外で、代表的なものでも100程の作品があり、1964年にニューヨーク世界博覧会で壁画「ストーンクレージー」(2500個、600tの石が使われた)が話題を呼び、世界的評価を得たのはニューヨーク世界貿易センターのシンボル『雲の砦』で約250トンの巨大彫刻です。
彫刻家の他、作庭家でもあり東京天理教館庭園、皆生温泉東光園庭園などが代表作です。
平成14年に、北海道亀田郡に開園した彫刻公園「ストーンクレージーの森」は、「流政之氏」の監修で約1万㎡と広大な敷地の中に約22点の彫刻が展示されています。
モニュメントを見る角度で色んな顔を持っている
3体並んで北東を向く三度傘。
修行僧にも見える。
良く見ると3体それぞれの形が違っている。
正面から見るとこんな感じです。
モニュメントの先の先端部分。
石を積み上げただけの陸。
先端部分から見た、モニュメント。
ここからの眺めは、モニュメントが海の上に浮かんだように見える。
周りの景色や駐車場
遠くの湾沿いから見た「波しぐれ三度笠」。
小さいですが、中央に白く見えるのがモニュメントです。
モニュメントの場所から見た海岸沿い。
帰りの方から見た、菊姫橋。
駐車場は、目の前に有り30台位は止められます。
「波しぐれ三度笠」動画
波しぐれ三度笠 まとめ
各地には、そんなに有名でなくても素晴らしい場所が沢山あります。
ここも、その一つです。
ここには、自然と海の調和が保たれ、長い歴史と海で働く人々の生きざまが見えてくるような気がする。
モニュメントには、四季折々、朝・昼・晩で違った陰影を見ることができ、又見た人の心情で色んな顔を見せてくれます。
辛いとき、悲しいときは癒しのスポットとして、これからの人生の道を切り開きたい人・やろうとする人にはパワースポットして訪れてみてはいかがでしょうか。
きっと、心に深い思いを抱かせてくれます。
「波しぐれ三度笠」の詳細情報
「波しぐれ三度笠」
〒689-2501 鳥取県東伯郡琴浦町赤碕(菊港東堤)
電話番号:琴浦町観光協会 0858-55-7811 FAX 0858-55-7558
<アクセス>
JR:赤碕駅下車 徒歩約20分
マイカー:米子自動車道米子東インター~山陰自動車道琴浦船上山インターを降り約5分
鳥取自動車道鳥取西インターを降り国道9号線で約60分
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