京都の東山連峰南端の稲荷山西麓に鎮座する、「お稲荷さん」名で親しまれる「伏見稲荷大社」は、全国に3万社以上ある稲荷神社の総本宮です。
お稲荷さんは、多くの神々の中でも広く親しまれている神様で、狐が神の使いであることは周知のとおりです。
そのため、多くの稲荷神社の社前には狛犬の替りに宝珠や鍵をくわえた狐の像がすえられています。
お稲荷さんは名称からも分かるように、稲の信仰が起源となった稲作を中心とする農業の神で、五穀豊穣を祈る農民に広く信仰されていました。
このように、もともと稲荷神は五穀豊穣の神として信仰されていましたが、時と共に商売繁昌・産業興隆・家内安全・交通安全・芸能上達の守護神としても信仰されるようになったのです。
- 千本鳥居は朱(あけ)の色のエネルギーが充満するパワースポット
- 映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の舞台となった千本鳥居
- 伏見稲荷大社が鎮座する稲荷山の峰にはその昔神々が祀られていた
- 本殿に祀られるのは宇迦之御魂大神を主祭神とする五柱
- イナリ社名の起源を『山城国風土記』の逸分から読み取る
- 稲荷山は山全体が御神体!本殿参拝後は御利益満載の山頂参拝へ
- 伏見稲荷大社から約2時間で行ける稲荷山の参拝・パワースポットコース
- 伏見稲荷大社の入口は第二の鳥居と楼門(ろうもん)からスタート
- 伏見稲荷大社参道口から稲荷山へ~この動画で参拝気分に!
- 伏見稲荷大社に来たらこのグルメは食べておきたい!
- 「伏見稲荷大社」まとめ
- 「伏見稲荷大社」の詳細情報
千本鳥居は朱(あけ)の色のエネルギーが充満するパワースポット
伏見稲荷大社で印象的なのが、テレビや雑誌などでよく目にする朱(あけ)の鳥居が何本もつづく千本鳥居です。
外国人にも人気の観光スポットで、山頂まで続く朱(あけ)の鳥居に神秘性を感じると言います。
千本鳥居とは言いますが、実際は稲荷山全体では千本どころか1万本以上もあり、今も奉納ごとに増えています。
お稲荷さまの鳥居が赤であるのは、人に流れる血液は赤、「あか」という音は再び「あ」に戻るのでこの音は魂の始まりや糧の「ひ」は火の玉で太陽の恵みで稲の収穫、鳥居の赤は、生命力・収穫・太陽をあらわす赤と言われ、鳥居には「願いがとおる・とおった」という意味も込められています。
何本も続く、トンネルのような鳥居を歩けば自然と心が穏かになり、鳥居の隙間から入る日差しが朱の色をより輝かせ、その朱の光が体の隅々に力を与えてくれるような不思議な感覚のパワースポットです。
朱の色のエネルギーと山全体から来るパワーが満ち溢れています。
特に、夜の光景は昼と違った顔を見せます。
暗闇の中、少しの灯りに照らされる朱(あけ)の鳥居は、朱の色が美しく光輝き幻想的で別世界に来たような感覚をになる。
<夜の千本鳥居(動画)>
映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の舞台となった千本鳥居
映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」は、七月隆文さんの100万部を越える人気小説の映画化で、京都を舞台に繰り広げられるラブストーリー。
主演は、福士蒼汰さんと小松菜奈さんの二人。
ストーリーは、京都の美大に通う南山高寿(福士蒼汰)は、電車のなかで一目惚れするもなかなか声がかけられず、覚悟を決めて声をかけると以外にも交際できることとなった。
しかし、彼女の福寿愛美(小松菜奈)には、大きな秘密が隠されていた。
「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」
奇跡の運命で結ばれた二人は、異なった時間の流れの中で翻弄してゆく。
伏見稲荷大社は、原作には出てきませんが、三木孝浩監督のたっての希望で追加撮影された場所になっています。
三木監督は、この場所は「異世界に行くような感覚がこの作品につながる気がする」と言っています。
予告編には、手をつないだ二人が千本鳥居を通るシーンが印象的です。
伏見稲荷大社が鎮座する稲荷山の峰にはその昔神々が祀られていた
伏見稲荷大社が鎮座する稲荷山は、京都盆地の東山の南にある標高233mのなだらかな山で、山頂が一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰と荒神峰の四つの峰からなる山です。
古くは祖霊の山として信仰されており、山頂などには古墳が築かれています。
社域は、稲荷山と神社周辺を合わせて26万坪と広大で、稲荷社が鎮座する一帯は、古くは藤森社の氏子圏でした。
その昔に、一ノ峰に上社、二ノ峰に中社、三ノ峰に下社が祀られていたものを今の本殿に移され祀られており、田中大神は荒神峰にあったとされ、田中大神と四大神は摂社であとに加わりました。
現在、本殿がある場所は山の神々を奉拝する斎場であったところだと言われています。
本殿に祀られるのは宇迦之御魂大神を主祭神とする五柱
【本殿】
御祭神が山に鎮座されたのは、奈良時代の和銅4年(711)2月初午(はつうま)の日のことで、その日から数えて平成23年(2011)に御鎮座1300年を迎えています。
また、2月初午(はつうま)の日は稲荷大明神が稲荷山の三ヶ峰に初めて鎮座された日で、稲荷大明神の祭日でもあり、稲荷山の杉と椎の枝で作った「青山飾り」をご本殿以下摂末社に飾る「初午大祭」が行われます。
本殿は、国の指定文化財に指定されており、応仁2年(1468)の応仁の乱で兵火により焼失しましたが、明応8年(1499)に再興された。
檜皮茸五間社流造の優雅で美しく、「稲荷造」とも呼ばれています。
本殿には、宇迦之御魂大神 (うかのみたまのおおかみ) を主祭神とし、他に4座の祭神の五柱が祀られており五座の神を稲荷五社大名神と称されます。
御祭神名 | |||
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主祭神 | 宇迦之御魂大神 (うかのみたまのおおかみ) | 下社 | 中央座 |
4祭神 | 佐田彦大神 (さたひこのおおかみ) | 中社 | 北座 |
4祭神 | 大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ) | 上社 | 南座 |
4祭神 | 田中大神(たなかのおおかみ) | 下社摂社 | 最北座 |
4祭神 | 四大神 (しのおおかみ) | 中社摂社 | 最南座 |
イナリ社名の起源を『山城国風土記』の逸分から読み取る
イナリの社名の起源は、『山城国風土記(やましろのくにふどき)』にあったとされています。
逸分にはこう書かれています。
”風土記に曰はく、伊奈利と稱ふは、秦中家忌寸(はたのなかつへのいみき)等が遠つ祖、伊侶具の秦公、稻粱(いね)を積みて富み裕(さきは)ひき。乃ち、餅を用ちて的と為ししか
ば、白き鳥と化成りて飛び翔りて山の峯に居り、伊禰奈利(いねなり)生ひき。遂に社の名と為しき。(前半)其の苗裔(すゑ)に至り、先の過ちを悔いて、社の木を抜(ねこ)じて、家に殖ゑて祷(の)み祭りき。今、其の木を殖ゑて蘇きば福(さきはひ)を得、其の木を殖ゑて枯れば福あらず 。” - 逸文『山城国風土記』
逸分の前半を訳すと、「餅を的にして秦氏族「伊侶具」と言う長者が矢を射たところ、その餅が白鳥になって飛び立ちとどまった峰に稲が実ったので社の名を伊奈利(イナリ)なった」という社名起源の説話になっています。
伊奈利が稲荷になったのは、イナリの化身の老翁が稲を荷って現れたからだとわれている。
稲荷大明神の使いが狐である訳は、東寺の縁起によればその昔に老狐の夫婦が五匹の子供を連れ稲荷山に現れ、「姿はこのようだが霊智をそなえいますので神のもと、世の中のために働きたい」と申し出たことによるものです。
もう一つ、気が常に良い気常(きつね)に由来するともいわれ、伏見稲荷大社は常に気の良い大社なのです。
稲荷山は山全体が御神体!本殿参拝後は御利益満載の山頂参拝へ
<稲荷山全体マップ>
<伏見稲荷大社周辺マップ>
本・拝殿だけの参拝では御利益も半減してしまいます!
沢山の御利益をいただくためにも、やはり稲荷山参拝にチャレンジしましょう。
伏見稲荷大社から約2時間で行ける稲荷山の参拝・パワースポットコース
延々と連なる朱色の鳥居をくぐり、約2時間でいける伏見稲荷大社と稲荷山の参拝・パワースポットめぐり。
伏見稲荷大社からJR稲荷駅まで約90分なので、ゆっくり歩いても約2時間程のコースです。
トンネルのような千本鳥居が奥社を経て山上へと連なり、途中に茶屋さんで休憩したり、適所にある祠やお滝場を寄り道をすればより楽しい散策になります。
伏見稲荷大社と稲荷山の参拝・パワースポットおすすめコース(約2時間)
①伏見稲荷大社・・・楼門・外拝殿・内拝殿・本殿・神楽殿
↓ 約3分(0.2km)
②千本鳥居
↓ 2分(0.1km)
③奥社奉拝所・・・おもかる石・熊鷹社・こだまヶ池
↓ 35分(1.6km)
④一ノ峰上社
↓ 10分(0.5km)
⑤薬力社
↓ 40分(2.0km)
⑥JR稲荷駅
伏見稲荷大社の入口は第二の鳥居と楼門(ろうもん)からスタート
コースの出発は、第二の朱色の鳥居がある楼門からです。
ちなみに、第一の鳥居はJR稲荷駅を出た表参道の入口にあります。
第二の朱色の鳥居と楼門(楼門)
楼門は、天正17年(1589年)豊臣秀吉が造営。
神社の楼門としては、最も大きなものです。
楼門の前には、二匹に狐が向かい合い正面「左側の狐は鍵」をくわえ、「右側の狐は宝珠」をくわえています。
外拝殿(げはいでん)
楼門を通って最初に目にするのが、この外拝殿(げはいでん)。
拝殿の軒先には、釣灯篭がぶら下がり黄道十二宮の星座があしらわれています。
2月の節分の日には「節分祭」が執り行われ、本殿にひきつづき外拝殿で、福男福女及び晴れ着姿の福娘が豆まきの神事を行います。
内拝殿(ないはいでん)
内拝殿は、本殿の前にあります。
普段の参拝で、利用される拝殿です。
神楽殿(かぐらでん)
神楽殿橋掛かりの棟瓦と檜皮茸(ひわだぶき)の屋根は、日本ならではの造りで重鎮さを感じる。
祈祷の訪れた参詣者のために、神楽女(かぐらめ)による神楽の舞が毎日行われている。
4月八日の最寄の日曜日には、稲荷大神に産業の繁栄を祈願する「産業祭」が行われ、神楽殿では胡蝶(こちょう)の衣装をつけた舞人が桜花舞(おうかのまい)を奉納します。
千本鳥居(せんぼんとりい)
千本鳥居は、神奈備(かんなび)の稲荷山をめぐる入口。
大きな鳥居を抜けると千本鳥居が見えてきます、ここは二手に分かれています。
稲荷大社の鳥居は朱(あけ)の色が特色となっていますが、この色には生命や大地・生産の力をもって稲荷大明神のみたまの働きだとする信仰があり、崇敬者が祈願と感謝をあらわし奥社参道に鳥居の奉納されたのが千本鳥居の始まりです。
崇敬者の奉納による鳥居は、稲荷山全体では1万本を越えています。
鳥居の裏側には、奉納者の企業や個人名が書かれていますので、どんな企業が奉納されているのか見ていくのも楽しいかも知れません!
どちらを通っても同じ場所に着きますが、行きは右側を通る人が多いようです。
千本鳥居が終わる出口の前には、きつねさんの絵馬が迎えてくれます。
可愛い絵馬なので思わず、笑みがでます。(絵馬も初穂料は500円)
きつねの絵馬以外にも、鳥居の形の絵馬もあります。
奥社奉拝所(通称:奥の院)
千本鳥居を抜けた所に、通称「奥の院」と呼ばれる奥社奉拝所があります。
命婦谷にあるので命婦社とも呼ばれます。
ここから東方向には3つの峰も見え、遥拝する起点となり山上へと上がって行きます。
おもかる石(願い成就のパワースポット)
奉拝所の右側の後には、丸い石をのせた一対の石灯篭があります。
灯篭の前で願い事を念じて、石灯篭の空輸(頭)を持ち上げて見たとき、軽いと思えば願いは成就され、重いと感じられれば残念ながらその願いは叶いません。
成就可否の試し石となっているこの場所を「おもかる石」と呼ばれ、参拝者には人気のパワースポットなっています。
熊鷹社
熊鷹社まで来るとまるで別次元の世界に迷い込んだ感覚になります。
稲穂を用いる注連縄には、命の糧となる人が生きる豊かなエネルギーを感じ、少し怖さも感じる灯明の火には人々が願いをかけ祈る心の炎を感じる。
新池(こだまヶ池)
熊能社のそばには、通称「谺ヶ池(こだまがいけ)」・新池があります。
池に向かって手を打ち、こだまが返ってきた方向に行方不明の手がかりがあるという言い伝えがあり、そのため拝所が池に面している。
鮮やかな朱の色に対して、こだまヶ池の深い緑色は幽逢なおもむきさえ感じる。
一ノ峰(上之社神蹟)
一ノ峰は、稲荷山の山頂で標高約233mの高さにあります。
赤い幕には、末広大神と書かれており、崇敬者が親しんで呼ぶ呼称です。
薬力社(やくりきしゃ)
薬力大社の神は、名前の通り薬力大神で、薬効や健康長寿・無病息災の神です。
狐は伏見稲荷大社の中でも多数存在しますが、薬力大社の狐は親子きつねの一対で大変珍しく、安産成就として崇められています。
又、境内にある手押し式の井戸の水で薬を飲むと一段と薬効があるといわれます。
この水で湯がいた「健康たまご」が参拝者に人気となっています。
伏見稲荷大社参道口から稲荷山へ~この動画で参拝気分に!
伏見稲荷大社に来たらこのグルメは食べておきたい!
伏見稲荷大社に来たら、是非食べておきたいのが参道にある日野家のすずめ焼きといなり寿司・きつねうどん。
日野家は、大正五年創業の90年以上続く老舗で、創業当初のたたずまいが残っている食事処です。
「すすめ焼き」は、五穀豊穣のシンボルである稲(米)をすずめが食い荒らすたので懲らしめのため、焼き鳥にして食べるようになったとか。
小骨と若干苦味があります。(すずめ1串700円)
日野家の「いなり寿司うどんセット」(930円)
いなりは、きつねの大好物!揚げ豆腐を食べて御利益を得ようと始まったらしい。
おいなりさんの油揚げは、きつねの耳をまねた三角形が伏見流です。
「伏見稲荷大社」まとめ
伏見稲荷大社は、稲荷山を含め26万坪の広大な敷地の中に、京都らしい社殿に一万本以上の朱の鳥居は圧巻で、美しさと神秘性が同居しているパワースポットです。
上へ上へと朱色の鳥居をくぐって行けば、朱(あけ)の色のパワーなのか心が高ぶり、全身にエネルギーが充満したかのような気になります。
所どこにある社では、色んな御神徳がいただけ、一ノ峰の山頂に近くなるにつれ稲荷山全体のパワーを感じることが出来ます。
この神秘的な魅力は、日本人ならずとも外国人が訪れたい観光スポットナンバー1にあるのがうなずけます。
昼間は、ハイキング気分で御神徳をいただきに稲荷山を周遊し、夜はスリルと神秘的な世界を巡るスポットとして、伏見稲荷大社は御利益以外でも魅力満載の神社です。
「伏見稲荷大社」の詳細情報
【伏見稲荷大社】
〒612-0882 京都市伏見区深草薮之内町68番地
TEL(075)641-7331
FAX(075)642-2153
伏見稲荷大社公式ホームページ:http://inari.jp/
参拝時間:24時間(特に開閉の門はありません)
参拝料:無料
ご祈祷時間:8:30~16:30まで随時(受付は16時頃まで)
※年中無休ですが、正月や祭典時は変更あり。
主な願意:商売繁盛・家内安全・交通安全・安産・厄除・病気平癒・入試合格など
御守り授与:授与時間は、ご祈祷時間内と同じ。
※ご祈祷と御守りは郵送での受付ができます。
<アクセス>
≪マイカー≫
名神高速「京都南インター」から約20分
阪神高速8号京都線「鴨川東インター」から約15分
阪神高速 上鳥羽出口より約10分
境内には200台の無料駐車場があります。
※日・祭日・お正月・祭典の日には駐車場が満車になりますので注意が必要です!
【伏見稲荷大社の無料駐車場(境内約200台)】
≪電車≫
JR奈良線 「稲荷駅下車」 表参道は目の前(京都駅から2駅目)
京阪本線 「伏見稲荷駅」下車徒歩5分
≪市バス≫
京都市営バス 南5系統「稲荷大社前」下車 徒歩7分
<伏見稲荷大社マップ>